スーパーカミオカンデのシミュレーションデータで遊んでみた!
ニュートリノ!サイエンスコミュニケーターの高知尾です。
昨日、東京大学宇宙線研究所さんのホームページで「スーパーカミオカンデ」のシミュレーションデータが公開されました。
なんと、このデータを使って自由にお絵描きしたりアニメーションを作ったりしてよいとのことです。あがる!
シミュレーションデータとは、実際の検出器の構造や物理法則をコンピューターの中で設定して、もしニュートリノが来たらどんなことが起こるかなと再現した結果です。
さて、ホームページに行くと説明書きがあり、サンプルデータをダウンロードできます。
どんなデータ?
ダウンロードするとフォルダの中には「エクセルデータ」、「PDFデータ」、そして「実行プログラム」が入っています。
エクセルデータ ニュートリノが反応して「チェレンコフリング」がひとつできたもの、複数できたもの、など合計8個(2020年5月30日現在)のシミュレーションデータ
PDFデータ 8個のデータに対して、2次元の展開図で示すとどうなるかを描いた画像
実行プログラム エクセルデータを3D表示するためのPythonで書かれたサンプルプログラム
Python(パイソン)とは?
スーパーカミオカンデの研究者も使っているプログラミング言語です。様々な業界で使われており、C言語よりもシンプルに書けるとされています。
絵を書くためには何が必要?
Windowsであればコマンドプロンプト、Macであればターミナル上で作業します。Macであれば、最初からPythonがインストールされています。Windowsであればダウンロードしましょう。あとは、グラフを描くためのツールが必要です。「matplotlib」というライブラリをインストールしましょう。その他に、テキストを修正するためにvi、Emacs等を用意しましょう。
詳しくは、こちらのページがわかりやすいです(Macの場合)。
実行するとどうなるか?
ダウンロードしたデータのディレクトリ内で、ターミナルから以下のコマンドを打って実行してみましょう。
python skdata_sample.py 1ring-mu.0000.000021.csv
実行すると、以下のような三次元座標上にカラフルな点がたくさん打たれます。スーパーカミオカンデの円柱状タンクに取り付けられた11,129本のセンサーのうち、どれがどれだけ光をキャッチしたかが表示されています。
スーパーカミオカンデ円柱状タンク(模型)
実行結果 円柱状の点の集まりが表示される。
まずはどこをいじればよい?
実行プログラムの最後の方に下記のような一行があります。
ax.scatter(x,y,z,s=3,c=q_disp,marker=".",cmap='coolwarm')
“s”は点のサイズ、”marker”は点の形、”cmap”はグラデーションの種類なので、まずはここをいろいろ変えてみてはいかがでしょうか。
そうすると、自分だけのスーパーカミオカンデ3次元マッピングを作ることができます。
作品名 「桜並木にて」
作品名 「貯金箱の中身」
もっと遊ぶには?
みなさん次第です。エクセルデータには「センサーにいつ光が届いたかの時間情報」もあるので徐々に点が増えていくアニメーションも作れそうです。また、3次元データをリアルな物体にプロジェクションマッピングしてみるのも面白そうですね!
ということで今回は、公開されたスーパーカミオカンデシミュレーションデータの遊び方についてご紹介しました。
ホームページには「今後、データの種類や数を増やす予定です」と書いてあるので楽しみです。そのうち実際に得られたデータの一部も公開していただけるのでしょうか??そうするといよいよ、研究者の方々が実際にされているデータ解析の一端を体験することができるようになります。市民科学や機械学習への発展も期待されますね!