『11.2km/s』

 こんにちは、スタッフの古宿です。今回は速度について少し書いてみたいと思います。
  地球上で一番足が速い動物は何だろう? ロケットはどれくらいの速さで飛ぶの?  この世の中で一番速いものは何? といったように、子どもたちのスピードに対する関心はとても強いと思います。私自身も小学生のころ、速さをキーワードにして動物や宇宙の理科図鑑を熱心に見たり、飛行機のプラモデル作りの際、カタログでその性能を調べたりした記憶があります。
 例えば、人の歩く速さは時速4kmです。オリンピックの陸上選手の速さは自動車並みの時速約40kmです。一番足が速い動物はチーター。瞬間最大時速約110㎞で走ります。音の速度は毎秒約340㍍。時速に換算すると約1200kmでマッハ1ともいいます。宇宙で一番速いのは光。そのスピードは毎秒30万kmで1秒間に地球を7周半も進みます。
 これらの数字は幼いころに刷り込まれ、大人になった現在でも身の回りの出来事や宇宙のことをイメージする上で重要な物差しになっています。
 ところで、地球の重力を振り切って宇宙に飛び出すためにはいったい何キロのスピードが必要なのかご存知ですか。
 答えは秒速11.2km。時速では4万320kmです。地球の重さや大きさ、ニュートンの万有引力定数から導かれ、地球脱出速度あるいは宇宙速度とも呼ばれていることを後になって知りました。ちなみに地球より大きさや重力が小さい月の脱出速度は秒速2.38kmとのことです。
 地球脱出速度は音速の約33倍(マッハ33)ありますが、最速の光と比較すると約2万7千分の1に過ぎません。そうはいっても、人類が地球の重力圏から離脱するというのは特別なイベントです。光速という宇宙基準のスケールがあるのにもかかわらず、あえて『11.2km/s』を宇宙速度と呼ぶ理由が分かる気がします。