AIと将棋
こんにちはスタッフの古宿です。九州や東海地方などを襲った豪雨災害に加え、新型コロナウイルスの流行再燃と、7月に入ってから厳しく不安な日々が続いています。こんな状況ですから、カミオカラボの来館者数も低迷しており、大変残念です。
気が滅入ることが多い中、ただ今、将棋の藤井聡太七段(17)のタイトル戦(棋聖・王位)に注目が集まっています。中学生でプロ棋士になり、デビュー以来、前人未到の29連勝を達成するなど、「天才少年棋士出現」と多くのメディアで取り上げられ、現在の将棋ブームの立役者となっていることはご承知の通りです。かくいう私も藤井ファンの一人として、二つのタイトル戦をインターネットの生中継で楽しんでいます。
中継では、プロ棋士による解説と最新のAI将棋ソフトを駆使して対戦者双方の手順や読み筋、情勢をより分かりやすく迅速に伝えてくれます。とりわけ、近年、AI将棋ソフトの性能は飛躍的に伸び、トップ棋士をもしのぐ実力を持っています。棋士が1時間を超える長考に入るような難解な局面でも、AIソフトはすぐさま次の一手の候補手をいくつか示し、それが好手なのか、凡手、あるいは悪手なのかを0~99%で評価してしまいます。
将棋の初心者でもデジタルのゲーム感覚でタイトル戦を楽しめるというのはこれまでになかったことです。強力なAIのサポートによって対戦者の思考や心理まで疑似体験できるのですから、すごいエンタテインメントだと思います。
ただし、「一瞬のうちに4億通りの局面を読むという将棋ソフトが示さなかった最善手を指した」とか、「大詰めの1分将棋でコンピューターの指摘通りにミスなく指して勝ち切った」などと、何でもかんでもAIを基準にして藤井七段をほめちぎる風潮は興ざめです。将棋は人がやるから面白いのであって、数々のドラマが生まれるのだと思います。