インタラクション2024冬「研究者紹介~大型低温重力波望遠鏡KAGRAの万能型研究者牛場先生~」⑤
みなさん、こんにちは!
カミオカラボのサイエンスコミュニケーター(SC)、山田です!
今回はKAGRAの研究者、牛場先生のインタビュー最終回となります。
かなりのロングインタビューでしたが、ここまでご覧いただきありがとうございました!
まだ、前回までのインタビューをご覧になっていない方はそちらもぜひご覧ください!
今回は牛場先生に宇宙人がいるのかについても聞いてみました!
SC:研究をしていて一番うれしかったことはなんですか?(ニュートリノ)
先生:研究は仮説を立てて、実験をしてその仮説が正しかったかどうかを検証するという順番でやっていくのですが、一連の作業が本当に上手くいってその仮説が正しかったのがバチッと証明されたときはうれしいですね。細かいところでいうと鏡の制御をしているときに理論があって、実験をやってみると少し違うふるまいをしたりするのですが、その違うふるまいがどうして出てくるのか原因を考えて実際にこのような実験をすればこのような結果が出ると理論と結果の違いが説明できるなと思って実験して上手くいくのが積み重なると嬉しいです。
SC:研究をしていてその研究に飽きたりすることはありますか?(しー)
先生:研究に飽きたりすることはないですけど、ただ研究が常に楽しいことばかりかというとそうではないです。私はプログラムを書くのはあんまり得意ではないので長いことプログラミング作業をしていると疲れてきたなって思うことはあります。でも、物理のことを考えるのは楽しいので飽きたなって思うことはないですね。
SC:装置の開発でプログラミング作業をしているのですか?(SC)
先生:はい、開発をやっていて重力波検出器を検出器として動くようにする、そしてさらに感度を上げていくという一連の作業をやっています。人間が毎回手でやっていると時間がかかっていくら人手があっても足りないので、自動でできるような部分は人間が上手くいくことを確認したら、それをプログラミング化して走らせれば誰でも同じ操作ができるようになります。そのプログラムを書く作業というのは一度自分の手でやって上手くいったものをプログラミングからできるようにするのは結構面倒くさいです。しかし、それをやらないと自分しかできない作業になってしまうのでやるのですが、それを書いているとバグだらけになってしまったりするので大変だなとは思いますね。
SC:研究をしていて一番楽しいと思えること、大変なことは何ですか?(ハル、豆花)
先生:楽しいのは実験が上手くいっている時です。一番は重力波検出器の感度が劇的に良くなるとうれしいですね。今回私はO4観測というところに向けて検出器の制御とかをやっていました。O3観測の時に、新型コロナウイルスの影響でLIGOとVirgoが早めにサイトをシャットダウンしてしまったのでLIGOとVirgoと共同観測できなかったのですが、ドイツのジオという検出器と一緒に観測をしていました。その時に「こういう感度でした」という感度があるのですが、10~100Hzの感度が結構悪く、今回はそれをちゃんと良くしようという事でハードウェアのアップデートや制御のアップデートとかいろいろやって今回のO4観測の前半のところではちゃんと上手くいって前の10倍くらい感度が良くなっていたのがうれしかったですね。そういうのが楽しいです。
SC:O4aのaってなんですか?(SC)
先生:O4というのが20か月間の観測期間で、そのど真ん中にコミッショニングブレイクというものがあってそこから前半と後半に分かれていて、前半のことをO4a、コミッショニングブレイクの後をO4bと呼んでいます。KAGURが参加したのはO4aの最初の一か月間です。O3とO4との違いは大きなアップデートをするために2年~2年半くらい空けて観測を始めるのがO3からO4みたいに数字が変わるときで、aとbというのが1~2か月くらいのブレイクをはさんでいて9か月観測して2か月のブレイクがあってまた9か月観測して全部で20か月の観測になります。
SC:ブレイクの時はどんなことをしているのですか?(SC)
先生:2か月のブレイクの時はO4aで分かったことから、「この部分を改良したら感度が良くなるぞ」という部分を見つけておいて、その2か月のブレイクの時に直してO4aの時より感度が良くなった状態でO4bを迎えるという事です。数字が変わるときは大型アップデートでaとbの時は微調整という感じです。
SC:休日は何をしていますか?(Wakki、りんご)
先生:休日も研究していることが多くて、本当に土曜も日曜も研究していることが多いんですけど、本当に休みの時は普段できない家事をしていますね。
SC:重力波の研究が進むと漫画のように重力を操ることができるようになりますか?(みすず)
先生:これは、漫画のように操れるかというと難しいと思うんですけど(笑)、重力を操るというのは結構難しくて、重力というのは物の質量という事なので質量が生み出せるようになることになので、質量が生み出せるようになるかというと難しいと思いますね。
SC:研究者の方は宇宙人はいると思いますか?(Ryoto)
先生:私はいてもおかしくはないかなと思います。ただし、見つけるのは相当難しいと思っています。これだけ数えきれないほどの星があって、惑星もたくさんあるので我々人間みたいな生命体かどうかもわからないですけど生命はいてもおかしくないと思います。もしみつけられるとしてもこっちからのアクションだけで見つけるのは難しいと思うので向こうからもアクションが来てお互いに交信すれば見つかるのかもしれないですけど、難しいのはこっちから情報を送って向こうから帰ってくるのに100万年とかかかってしまうので我々が生きている間に情報を出して向こうから返ってくるという事はないのでそういう意味では難しいと思います。重力波で見つけるのは難しいと思いますね(笑)。
これで今回の研究者紹介、大型低温重力波望遠鏡KAGRAの研究者牛場先生のインタビューシリーズは最後になります!
最後までご覧いただきありがとうございました!