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星座の和名

今日はいしばしの担当です。
最近、日本古来の星の名前が使われることがほとんどありません。野尻抱影(1885~1977年)が熱心に全国の星の呼び名を集めましたが、彼は英文学者だけでなく、天文民俗学者の肩書を持っていました。ちなみに、冥王星(Pluto)の和訳命名者でもあります。

そんな彼が研究した星々の和名をすこし紹介したいと思います。

さそり座は心臓に位置する赤い1等星「アンタレス」から、左下へS字に伸びるしっぽが印象的ですが、瀬戸内海の漁師さんの間では釣り針に見立て「魚釣り星(うおつりぼし)」と呼ばれていました。アンタレスも赤く輝くことから「赤星(あかぼし)」。

オリオン座はその形から「鼓星(つづみぼし)」と呼ばれていました。
有名な三ツ星と、それを挟むように位置している2つの1等星「ベテルギウス」と「リゲル」。さらには2つの2等星の合計4つの星で三ツ星を囲んでいる様子が、まるで鼓のように見えたわけです。ちなみに三ツ星も「三連星(みつらぼし)」とも呼ばれていました。

おうし座にある「プレアデス星団」は星が集まって見えるので、“集まって1つになる”という意味の「すばる(統ばる)」から「すばる」と呼ばれていますが、今も「すばる」という呼び方は聞くと思います。肉眼でも6つの星が見えるので「六連星(むつらぼし)」とも呼ばれていました。

有名な「カシオペア座」はW型の形に星が並んで見える星座ですが、その形にちなんだ和名が付けられています。W型の真ん中から鎖でぶら下げたと想像してみてください。何に見えます?昔の人たちは、船の錨(いかり)に例えて、「錨星(いかりぼし)」と呼んでいました。

最後に、北極星の名前は一般的ですが、これは中国名です。和名は「子の星(ねのほし)」です。方角を十二支であらわした時、北の方角が子(ね)のため、子の星(又は子星)と呼びました。また、少しだけ動くことも知っていました。

和名は生活に根ざした名前が多く、別の機会にまた紹介したいと思います。