インタラクション2024冬「研究者紹介~大型低温重力波望遠鏡KAGRAの万能型研究者牛場先生~」①
皆さん、こんにちは!
ひだ宇宙科学館カミオカラボのサイエンスコミュニケーター(SC)の山田です!
今回の記事はカミオカラボ発行情報誌インタラクションの企画の第二弾で岐阜県飛騨市神岡町にある最先端の宇宙物理学研究施設大型低温重力波望遠鏡KAGRAの研究者を取材しましたので、そのインタビュー内容を掲載します。
第一弾のスーパーカミオカンデの研究者のインタビューもぜひご覧ください!
インタビューの際の質問は来館者やSNS、飛騨市の学校で募集した中から私が厳選して研究者の方に質問させていただきました。
かなり盛りだくさんのインタビューになったので、全部で5回に分けて投稿します!
今回、取材させていただいたのは大型低温重力波望遠鏡KAGRAで研究をしている東京大学宇宙線研究所の牛場崇文准教授です。牛場先生は埼玉県出身の35歳、趣味は物理、音楽、散歩だそうです。
KAGRAとは神岡鉱山の地下200mにある片側3kmの腕を持つL字型の重力波検出器です。
重力波とは物質が動いたときにその物質の周りの時空のゆがみがさざ波のように広がっていく現象です。
トランポリンの上をトランポリンの膜のゆがみが波を打って広がるようなイメージです。
今回の取材が震災の直後でしたので能登半島地震の影響についても教えていただきました。
それではここからインタビューの内容に入ります!
※()の中は質問者のペンネームです。
SC:研究者へなろうと思ったきっかけはなんですか?(けー、りんご)
先生:大学に入る前は研究者になろうとは思ってはいなかったです。高校生の頃にまだやることが決まっていなくて、選択肢が多い大学がいいだろうという事で東京大学を受けて、大学に入りました。私が入った重力波をやっている研究室の先生が特殊相対性理論の授業を大学一年生の時にやっていて第一回目の授業で自分の研究室の研究紹介をやってくれていて、それが面白いと思ったからその研究室に行こうと決めました。そして、そのまま研究者としてやっていこうかなと思って研究者になりました。なので私は研究者になろうと思ったのは結構遅い方なのかなと。物理系に進もうと思ったのも大学に入ってからで、大学に入るまでは化学か数学か物理か理系の何をやろうかなという感じでした。
SC:研究室を選ぶきっかけになった先生はKAGRAの先生なのですか?(SC)
先生:KAGRAの先生です。私が修士を卒業するタイミングで退官された方です。
SC:研究者になるために頑張った方がいいことはなんですか?(わべ)
先生:研究者で大事なことはたくさんありますが、自分が興味を持ったことを知ろうとすることが大事だと思います。疑問に思ったことを自分が納得するまで調べてみるという事を日々やるのが大事だと思います。自分がちょっとでも疑問に思ったことを残してしまうとわからないことがどんどん溜まっていってしまうので。もちろん学校の勉強とかも大事な部分はあるのですが、それよりも自分が興味を持ったことを突き詰めていけるかという事の方が研究者をやっていく上では大事なので、日ごろ自分がちょっと疑問に思ったことを自分が納得するまで調べてみてほしいです。
SC:理科の中でしいていうなら何が好きでしたか?(SC)
先生:物理と化学が好きでした。私の高校は化学の授業は実験が多かったので結構化学は楽しかったです。
SC:研究者になるために勉強の部分で頑張った方がいいことはありますか?(SC)
先生:物理学者につながるためには大学の物理はほとんどが高校の数学なので、高校の数学をやっておくのがいいと思います。大学に入ってからの数学の一部はもちろん大学の物理でも使うのですが、本当に数学にハマっていくと物理では使えなくなってしまうので(笑)。
なので、高校生の時は数学をやっておくと大学の物理はスムーズに学べると思います。
SC:子供の時にどんなことに興味がありましたか?(あああ)
先生:中学高校の時は結構部活をやっていて、ただ一つのものを突き詰めるというよりは色々なことに興味があって、中学では卓球部で高校ではテニス部とフットサル部に入っていて球技が好きでした。大学に入ってからは軽音楽サークルに入っていました。高校生の時に有志でバンドを組んで学園祭に出たこともあったのでその延長です。
SC:高校生の頃の得意な教科と苦手な教科はありましたか?(いえ)
先生:数学は得意な方でした。国語の現代文が非常に苦手でした。文系科目が苦手で社会の歴史とかも歴史の流れはわかるんですけど、人の名前が覚えられなくて単純な暗記ものは苦手でした。英語もあんまり得意ではなかったです。
SC:研究者になるにあたって海外の方とコミュニケーションを取るために英語は必要だと思うのですが、どうやって身に着けたのですか?(SC)
先生:英語を身に着けたのは大学の博士課程を卒業した後くらいです。私がラッキーだったのは大学院を卒業してポスドクになったときに、一緒に宇宙線研究所で研究していた人が日本語を日本人のように話せるイギリス出身の人で、お昼の時にその人と話していると英語がわからなくなったときに英会話教室みたいに教えてもらえたので身につけられました。リーディングは論文を読むので苦手ではなかったのですが、話すのは大学院生の時は得意ではありませんでした。ただし、必要に迫られればすぐ上手くなるので怖がらずに話すのが大事だと思いますね。
SC:高校生の頃、一日何時間勉強していましたか?(卑弥呼、りお、もりす)
先生:部活をやっていた時期は学校が終わって3~4時間くらいでテスト前の休日は集中して10~12時間くらいやっていたと思います。1,2年生のときはそんなにやっていなくて勉強しないときは全く勉強しない感じでした。
SC:学生時代にしていた勉強法を教えてほしいです(みゆ)
先生:勉強は基本的に授業中にすべて理解するつもりで集中してやっていました。あんまり予習も復習もするタイプではなくて授業中にすべて覚えてやろうという感じでした。
今回は高校生から質問を募集したので、研究者の学生時代について関心がある質問が多数ありました!
次回はいよいよKAGRAの研究に関するインタビューの内容です!
是非ともご覧ください!